1991 年 82 巻 2 号 p. 312-315
症例は, 59歳男性, 血尿で来院した. 血尿は高度で多くの輸血を必要とした. CTで膀胱左後壁に腫瘍が認められ, 膀胱壁外浸潤も疑われた. 膀胱生検では移行上皮癌と考えられたが, 膀胱全摘術を施行したところ, 腫瘍は5.5cm×4.0cm×4.5cm大, 比較的境界明瞭な半球状で, 組織学的には悪性線維性組織球腫 (炎症型) であった. 著明な静脈内浸潤が認められ, 不良な予後が推察されたが, 後療法としてアドリアマイシン (100mg, day 1)・ダカルバジン (400mg, day 1~5) 併用化学療法を計5クール追加し, 24ヵ月後の時点で, 再発・転移は認められていない.