日本泌尿器科学会雑誌
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表在性膀胱癌および膀胱上皮内癌に対するBCG東京172株の膀胱内注入療法の抗腫瘍効果と再発予防効果の検討
BCG膀胱内注入療法研究グループ赤座 英之亀山 周二垣添 忠生小島 弘敬小磯 謙吉阿曽 佳郎新島 端夫
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1992 年 83 巻 2 号 p. 183-189

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抄録

表在性膀胱癌 (Ta, T1) および膀胱上皮内癌 (CIS) に対するBCG東京172株による膀胱内注入療法の抗腫瘍効果と再発予防効果の検討を行った. 本臨床試験の結果はBCGの臨床使用について厚生省の認可を得るための申請資料の一部となるものである. 全体で157症例 (Ta, T1125例, CIS32例) に対して, BCG 80mg/40ml生食水の膀胱内注入療法を週1回, 原則として8回施行した. この投与方法は, 以前に行った臨床第II相試験結果に基づくものである. 125例の表在性膀胱癌のうち, 83例 (66.4%) がCRを示し, PRは26例 (20.8%) であった. また, 32例のCISでは27例 (84.4%) がCRを, 2例 (6.3%) がPRを示した.
治療注入によりCRを示した症例, およびPRを呈した後, TUR-Btで腫瘍を除去した症例のうち, 98症例が再発予防注入試験に移行した. これらの症例は無作為割り付けにより, 42例が予防注入施行例, 56例が無処置観察群となった. 予防投与は, BCG 40mg/40ml生食水の注入を月1回, 原則として12回, または再発を認めるまで行った. 投与継続中に再発した症例は3例であり, 副作用や患者の希望などで12回を終了できなかった症例は25例であった.
1,050日まで両群の非再発曲線を投与回数の差を考慮に入れつつ比較したが, 統計学的な有意差を認めなかった. 即ち, 本研究で用いたBCGの治療注入の効果は著明であり, それのみで, その後の再発予防効果も十分期待できることが判明した.

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