日本泌尿器科学会雑誌
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高速液体クロマトグラフィーによる蓚酸測定
伊藤 晴夫小竹 忠鈴木 文夫林 裕子山口 邦雄
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1993 年 84 巻 10 号 p. 1768-1775

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抄録

蓚酸の良い測定法を見出すために, 高速液体クロマトグラフィーによる方法についての検討を行った.
高速液体クロマトグラフィーによる方法は茶, ビールに対しては, これらの成分に蓚酸と retentiontime の近い物質が少ないので, ピークの分離がよく, 操作も複雑で無いので, きわめて良い方法である. 尿においては測定の直線性, 希釈試験, 回収率では良い結果が得られたが, 再現性においてはやや問題がある. 本法は, 研究用に少数の検体を測定するには向いているが, 測定に時間がかかること, カラムが高価なため, ルーチンの臨床検査には適していない.
本法により測定した12人の健康対照人の一日尿中の蓚酸量は16~47mg (平均±標準偏差: 25.4±9.0) であった. 体格の違いを補正するために蓚酸量を尿中クレアチュン, 体表面積, あるいは体重で割ると, 後者の変動係数がもっとも小さかった. したがって, 体格の違いを補正するには蓚酸量を体重で割るのが良く, この場合の正常範囲は体重 (kg) あたり0.6mg以下とするのが良いと思われた.

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