1996 年 87 巻 10 号 p. 1201-1204
シメチジンが奏効した腎細胞癌肺転移の2例を経験した. 症例1は61歳, 男性. 左腎細胞癌 (T3N0M0) にて根治的左腎摘除術を施行したが肺転移, 脳転移をきたした. 両者に対してインターフェロンは無効であった. 脳転移は放射線療法にてPRとなり, 肺転移はシメチジン1日800mg経口投与にてほぼCRとなった. しかし, 患者は虚血性心疾患のため死亡した. 症例2は58歳, 女性. 左腎細胞癌 (T3N0M0) にて根治的左腎摘除術を施行したが, 肺転移をきたした. インターフェロン療法を開始するも全身倦怠感, 貧血のため投与を中止せざるを得なかった. シメチジン1日800mg経口投与したところCRとなり, 現在も癌無し生存中である. 2症例の免疫能を検討したところIgGが著明に増加しており, 何らかの液性免疫が関与していることが示唆された.