日本泌尿器科学会雑誌
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VIPを導入療法とした進行性胚細胞腫瘍の治療成績
吉田 哲也米瀬 淳二塚本 哲郎吉川 慎一金 泰正前田 康秀福井 巌
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2000 年 91 巻 2 号 p. 55-61

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抄録

(目的) 転移性胚細胞腫瘍患者において導入療法としてのVIP療法の治療効果と副作用について検討した.
(対象と方法) 1994年3月から1997年10月までにVIP療法を行った未治療の16例を対象とした. 薬剤は etoposide (100mg/m2), ifosfamide, (1.2g/m2) および cisplatin (20mg/m2) をそれぞれ連続5日間投与し, 原則として3週間毎に繰り返した. 国際胚細胞癌共同グループ分類 (IGCCC) による病期分類では, good prognosis 群6例, intermediate と poor prognosis 群がそれぞれ5例であった.
(結果) 13例 (81%) がVIP療法単独もしくはVIP療法後残存腫瘍切除術を受けCRを得た. 3年生存率は good と intermediate prognosis 群がそれぞれ100%で, poor prognosis 群は40%であった. 副作用は grade 3 以上の骨髄抑制を全例に認めたが治療の耐溶性は比較的良好で, 治療関連死は認めなかった.
(結論) 骨髄抑制が高度であるものの, VIP療法は good と intermdiate risk の進行性胚細胞腫瘍に対しては有効な導入療法と考えられるが, poor risk 症例に対してはさらに強力な regimen が必要と思われる.

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