日本泌尿器科学会雑誌
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排尿障害を有する男性における性機能についての検討
市川 孝治高尾 彰中山 恭樹三枝 道尚荒巻 謙二
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2001 年 92 巻 3 号 p. 464-469

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抄録

(目的) 男性のLUTSに対する治療において, 現在では症状の改善だけでなく, 治療における合併を可能な限り減らし患者のQOLを考慮した治療法選択がなされるようになっている. 我々はLUTSとともにどの程度の症例が性機能障害を有し, 現在の性生活に不満を抱いているかを検討した.
(対象と方法) LUTSを主訴に当科を受診した252人に対し, I-PSSおよびSFI (sexual drive, erection, ejaculation) のアンケートを行った. この結果をもとに, 年齢, I-PSS合計点, I-PSS各項目と性機能の各項目における関係を Spearman の順位相関を用い検討した.
(結果) 208例が検討可能であった. Sexual drive, erection, ejaculation それぞれで67.8%, 46.2%, 47.1%の症例に低下を認めた. これらに対して問題意識を有していた症例はそれぞれ24%, 20.7%, 18.3%であり, 最終的に性生活に対する満足度では27.4%が不満を感じていた. 年齢と性機能3項目との間には有意な強い相関を認めた. またI-PSS合計点と性機能3項目との間にも有意な相関が認められ, 排尿障害が強いほど性機能は低下していることが示唆された.
(結論) LUTSを主訴に受診する男性では, 排尿障害だけでなく性機能についても問題と考える症例が多いことを考慮し治療にあたる必要がある.

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