日本泌尿器科学会雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
ISSN-L : 0021-5287
浸潤性膀胱扁平上皮癌18例の臨床的検討
林 典宏浅野 晃司古田 昭池本 庸岸本 幸一山崎 春城大西 哲郎鷹橋 浩幸大石 幸彦
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 95 巻 5 号 p. 711-717

詳細
抄録

(目的) 浸潤性膀胱扁平上皮癌 (以下SCC) の自験例ならびに本邦報告例において, 予後改善に有効な治療法を検討することを目的とした.
(対象と方法) 最近10年間に当科で診断された浸潤性膀胱SCC18例を対象とした. 自験例の臨床像を明らかにするとともに, 治療法, stage, 予後との関連を検討した. また, 最近20年間の本邦報告例において, stage と治療法に関して予後を検討した.
(結果) 自験例の2年以上癌なし生存例は11例であり, 7例が膀胱全摘除術施行例であった. また, 癌死例は7例であった. その内, 3例が膀胱全摘除術施行例であり, 6例は, stage III以上であった.
本邦報告例の検討においては, 外科的摘除術単独では, TURおよび膀胱部分切除術を施行した症例は全例癌死していた. しかし, 膀胱全摘除術を施行した症例でも, stage III以上では癌死例が多かった. 補助療法としては cisplatin 主体の化学療法併用放射線療法施行例は4例全例2年以上癌なし生存していた.
(結論) 浸潤性膀胱SCCの術式は膀胱全摘除術が最も妥当であるが, stage III以上の症例では高率に再発するため, 補助療法を併用すべきであると思われる. われわれは補助療法として, cisplatin を主体とした化学療法併用放射線療法が最も有効性が高いと考えた.

著者関連情報
© 社団法人 日本泌尿器科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top