日本泌尿器科学会雑誌
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性器脱手術患者の Quality of Life (QOL) 評価の試み
福本 由美子上阪 裕香山本 圭介伊藤 伸一郎山中 幹基竹山 政美野間 雅倫
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キーワード: 性器脱, QOL, 質問表
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2008 年 99 巻 3 号 p. 531-542

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抄録

(目的) 婦人泌尿器科分野の疾患は, その多くがQOLの改善を目的に治療される. 婦人泌尿器科疾患の中でも尿失禁については, そのQOLに関しての大規模調査が行われているが, 性器脱については疾患特異的QOL質問票として汎用されているものがなく, いまだQOL評価はなされていない. 性器脱QOL評価のための質問票の暫定的翻訳案を作成して試用することで, 質問票としての評価を試みた.
(方法と対象) prolapse quality of life questionnaire (P-QOL) の日本版を暫定的に作成し, 自験例30例について手術前後に使用し, 全般的健康度調査としてSF-36を使用, 併せて性器脱の他覚的所見, 患者満足度調査を行い, 評価した.
(結果) 手術を行うことにより他覚的には性器脱の修復状態は術後3ヵ月の時点でも保たれており, 再発例は認められなかった. また, SF-36, P-QOLによる患者の自覚的改善度評価ではともに手術施行により症状, QOLが改善していることが確認でき, これらは患者満足度ともよく合致していた. また, どういった要素がQOLを損なっているのかについても検討できる可能性があると思われた.
(結論) P-QOL暫定的翻訳案は, 質問票として使用に耐えうるものと考えられた. 今後さらなる評価・手続きを経て日本語版P-QOLを作成する必要があると考えられた.

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