家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
ラット子宮腔の酸素分圧について
菅原 七郎福井 俊彦小高 順子梅津 元昌
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1961 年 6 巻 3 号 p. 123-126

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抄録

子宮内が嫌気的か好気的であるかを知るためにラット子宮について発情期,発情休止期,卵巣剔出,プロヂェステロン処理の各条件下における酸素分圧を酸化還元指示薬(還元型メチレン青)法とミクロ電極法によつて測定した結果次の通りの成績が得られた。
1) 指示薬法とミクロ電極法で得られた結果はほぼ同様な傾向を示した。
発情期における,還元型メチレンブルーの酸化速度は3.3分と,他の条件時の値と比較して最も速い。このことは酸素分圧が発情期に最も高いことを示唆する。一方ミクロ電極法においても発情期の酸素分圧は平均51.3mmHgで最も高い値であつた。
2) ラット子宮内の酸素分圧は卵巣の剔出によつて全くなくなる。しかし, progesterone処理によつて,又子宮内の酸素分圧が休止期の分圧とほぼ同じ位に依復する
3) 発情期における酸素分圧は動脈血中(78mmHg)の約5/8であつて,動静脈差(44mmHg)と動脈子宮差28mmHgを比較してみると動脈子宮差は動静脈差よりも小さい。従つて,子宮内腔でのガス交換は非常に効率がよいと言える。

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