日本透析療法学会雑誌
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CAPD患者における長時間連続心電図の解析
佐藤 成明保田 浩平三浦 靖彦水口 正人亀田 千賀子副島 道正太田 真川口 良人宮原 正
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1986 年 19 巻 8 号 p. 769-773

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抄録

安定したCAPD患者20例 (平均48歳, 男性15例, 女性5例) について, Holter心電図記録を行い, 総心拍数, 心拍変動, 心室性期外収縮の発生頻度を見た. CAPD歴は平均16±13ヵ月である. 心血管系の既往歴として高血圧が13例 (65%), 左心肥大が10例 (50%), その他冠不全3例, 完全右脚ブロック2例, 陳旧性心筋梗塞, 心室中隔欠損症, 肥大型心筋症が各1例含まれている. 記録中, 全例に心血管系に自覚症状を認めなかった. 総心拍数は日中平均5,393±815/時と最高値を, 深夜4,526±725/時と最低値を呈する健常人と変らぬパターンを呈したが, 全体的にやや頻脈傾向を認めた. 心拍変動も健常人とほぼ同様のパターンを呈するが, 一部変動の小さい時間帯を認めた. 心室性期外収縮は11例 (55%) にみられたが, 多発性, 連続性ないしR on Tなどの重症不整脈は認めなかった. また, 糖尿病群と高齢者群で一部心拍数の減少と心拍変動の低下を認めた. 日内変化はほぼ正常のパターンを呈し, 心室性期外収縮の出現数も有意差を認めなかった. 以上の結果からCAPDは, 日常行動および注排液操作が循環器系に及ぼす影響の少ない有用な血液浄化法であると思われる.

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© 社団法人 日本透析医学会
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