日本透析療法学会雑誌
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慢性腎不全患者の自律神経障害
心電図R-R間隔を指標として
石原 哲前田 真一小林 覚清 正夫羽鳥 浩司鈴木 広明北島 和一春日 善男小林 克寿斉藤 昭弘西浦 常雄
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1986 年 19 巻 9 号 p. 905-909

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抄録

慢性腎不全患者の自律神経障害を定量的に表現する方法として, 迷走神経の活動状態を反映するとされる, 安静時における心電図R波-R波間隔の変動係数 (CVR-R) を, 血液透析未実施の慢性腎不全患者19名 (CRF群), 血液透析患者 (糖尿病腎症によるものを除く, CRF・HD群) 140名, 糖尿病腎不全による血液透析患者 (CRF (DM)・HD群) 15名に対し計測した.
これら各群のCVR-R (%) は順に, 2.60±0.85, 1.84±0.76, 1.23±0.49 (mean±SD) で, 健常者の4.45±2.32に比し有意に低値であった. CRF・HD群において, 透析中に血圧低下や狭心発作を呈しやすい症例では, さらにCVR-Rが低値であった. また, CVR-Rは加齢とともに低下したが, 血液透析の導入, 継続による一定の変動は見出せず, 腎移植生着例のみにおいて上昇傾向が見られた.

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