日本透析医学会雑誌
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急性膵炎により高血糖性意識障害を発症した維持血液透析患者の1例
堀田 義雄田所 正人田浦 幸一中村 貴塚崎 祥子宮崎 雅也須山 尚史平島 定宮崎 正信河野 茂
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2003 年 36 巻 7 号 p. 1273-1277

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抄録

無痛性急性膵炎を契機に高血糖性意識障害を発症した慢性透析患者を経験した. 症例は慢性腎不全で維持血液透析療法中の51歳の男性である. 全身倦怠感出現, その際の中性脂肪は1,963mg/dLであった. 徐々に意識レベルの低下がみられたため受診, 血糖値1,811mg/dLより糖尿病性昏睡と診断した. 補液, インスリン持続投与および連日の血液透析を開始した. 意識が清明となった後も高血糖は持続した. 膵酵素の上昇およびCT上の膵腫大から急性膵炎の合併と診断したが腹部症状は認められなかった. 膵炎の治癒に伴い血糖コントロールも改善した. なお, 抗GAD抗体は陰性であった. 本例は, 入院前に1,963mg/dLの高中性脂肪血症を呈しており, これが急性膵炎の原因と考えられた. 慢性腎不全に無痛性急性膵炎を合併した症例と考えられた.

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