日本透析医学会雑誌
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ACDKに伴う腎紡錘細胞癌 (肉腫様癌) の1例
藤田 喜一郎梶原 隆広山田 大介遠藤 瑞木古屋 徹金子 昌司堀部 良宗石井 泰憲
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2003 年 36 巻 7 号 p. 1289-1293

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抄録

61歳, 男性. 1988年慢性糸球体腎炎を指摘されるも放置. 1991年9月慢性糸球体腎炎の増悪を認め透析導入となった. 2000年9月にたまたま施行したCTにて, 両側腎臓の萎縮性変化と多発性嚢胞および左腎の腫瘤を指摘され入院となった. 2001年1月10日根治的左腎摘除術を施行. 紡錘細胞癌 (肉腫様癌) と診断された. 補助療法を勧めるも患者が拒否したため断念. その後, 外来にて経過観察していた. 同年3月16日に左上下肢の麻痺を訴えたためCTを施行したところ, 脳転移が疑われ当院脳神経外科に入院となった. MRIでは右頭頂葉に腫瘤を認めた. 4月12日腫瘍摘出術を施行. 病理組織学的に腎細胞癌脳転移と診断された. その後, 頭部に50Gyの放射線照射を行ったが, 脳転移の再発をきたし, 9月28日死亡した.
紡錘細胞癌 (肉腫様癌) は極めて予後の不良な腎細胞癌の一細胞型として知られている. しかし最近, 肉腫様変化は腎細胞癌の全ての細胞型から生じ得る, 異型度の高い表現型であると考えられるようになってきた. これまで透析腎癌の予後は良好とされてきたが, 透析患者に発生する腎細胞癌にも肉腫様変化が生じ得ることを認識すべきであると考えられた.

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