日本透析医学会雑誌
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敗血症により著明な低血糖を呈した血液透析患者の1例
坂入 徹石田 克敏野口 俊治原田 孝吉見 誠至仁平 聡水間 春夫大野 順弘長坂 一三富岡 眞一
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2003 年 36 巻 10 号 p. 1561-1566

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抄録

症例は, 69歳男性. 慢性糸球体腎炎による慢性腎不全にて近医で血液透析施行中であったが2002年9月9日早朝に意識障害のため当院へ搬送された. 左共同偏視, 水平方向の眼振等を認め, 脳血管障害を疑い, 脳CT, 緊急脳血管撮影を施行したが異常所見を認めなかった. その後著明な低血糖が出現し糖液の静注を頻回に行った. 循環不全のため翌9月10日死亡し, 剖検にて僧帽弁の感染性心内膜炎および脳を含む全身の細菌性塞栓と診断された. 低血糖は敗血症が原因と考えられた. 敗血症に著明な低血糖を伴うことはまれであるが, 慢性腎不全, 肝硬変等の糖代謝異常を呈する基礎疾患を有している場合には合併しやすいことが報告されており, 透析患者の低血糖の原因として敗血症を念頭におくべきと考えられた.

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