日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
両側腎摘除術を施行した出血性血管筋脂肪腫合併結節性硬化症の1例
戸澤 亮子高野 隆一小倉 学秋元 哲根本 遵斎藤 修安藤 康宏武藤 重明寺内 文人安士 正裕森田 辰男八木澤 隆草野 英二
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 39 巻 3 号 p. 197-201

詳細
抄録

症例は37歳女性. 幼少時より顔面に血管線維腫, 脳内石灰化, 精神発達遅延を認めていた. 16歳時に画像上両側の巨大な腎血管筋脂肪腫が指摘され, 結節性硬化症と診断された. 31歳時に右腎腫瘤内出血により腎摘除術が施行された. 2004年5月 (37歳), 左腎腫瘤内の難治性出血をきたし入院した. Hbが4.9g/dLと高度の貧血を認め, 腎動脈塞栓術を施行したが止血が困難で, 外科的腎摘除術を選択した. 術直後より腎不全に対して血液透析を開始した. 摘出した腎臓は, 病理学的に腎実質は腫瘍にはさまれ, 組織学的に, 血管と筋線維, 脂肪組織の増生を認め血管筋脂肪腫に合致する所見であった. 巨大化した両側腎より難治性出血をきたしたtuberous sclerosis complexに相当する症例で両側腎摘除術までが必要な症例は少なく, ここに報告する.

著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top