虚血性心疾患患者の運動耐容能評価や運動処方作製のためには, 日常生活活動様式に沿った運動負荷試験を工夫する必要がある.外来患者99名を対象としたホルター心電図の心拍数変動からみた日常生活動作の様式と程度を分析し, multi-stage法運動負荷試験における負荷様式との差を心拍数において検討した.頻拍をきたす日常生活動作は, 主に歩行, 階段昇降など下肢運動に伴う動作であったが, 精神緊張を伴う自動車運転や排便による頻拍も認められた.日常生活動作最高心拍数は, 運動負荷最高心拍数の約80%であったが, その最高心拍数到達時間は, 80%が3分以内と短く, 負荷試験と大きく異なっていた.日常生活動作における心拍数変動は急激であり, 急速な負荷が加わっていると推定された.multi-stage法運動負荷は, 負荷量では十分であるが, 負荷の加わる時間が日常生活とは大きく異なり, 日常生活運動耐容能評価には, 運動負荷法の工夫が必要と考えられた.