1967 年 20 巻 1 号 p. 45-51
リゾチームの生理効果を検討した。リゾチームはカゼインに対してin vitroでは分解作用を示さない。
リゾチームを130mg/100g添加した育児用試験粉乳を家兎およびネズミに投与し, つぎのような結果を得た。
1. 牛乳中には0.03~0.17mg/100g, 人乳では3~10mg/100gのリゾチームが含まれ, 牛乳では人乳の約1/100程度であった。
2. 家兎にリゾチーム添加試験粉乳を投与した場合には, 血清および糞便中のリゾチーム含量が増加した。とくに糞便中に多い。
3. 家兎糞便中のN-化合物の分布をDowex-50Wイオン交換樹脂で測定した結果, オリエンタル飼料と育児用粉乳を投与した場合はその分布が異なり, 育児用粉乳投与によって糞便中には低分子N-化合物が多くなった。しかしリゾチーム添加試験粉乳と無添加粉乳との間では明らかな差異は認められなかった。
4. リゾチーム添加育児用粉乳および無添加粉乳投与によって, ネズミ糞便中のpHは低下, ビフィダス菌は増加した。とくに試験粉乳投与ではこの傾向が明らかであった。さらに再びオリエンタル飼料を投与するとpHは上昇し, ビフィダス菌も減少した。