栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
牛乳の抗体蛋白質に関する研究 (5)
乳牛のポリオ抗体産生能およびサルに対する免疫乳の投与実験
祐川 金次郎繁田 晴美飯田 広夫櫻田 教夫大和田 寛長島 隆
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1967 年 20 巻 1 号 p. 9-13

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抄録

経産牛および妊娠牛にポリオウイルスワクチンを筋肉注射し, 血中および乳汁中の抗体価, 加熱処理による免疫抗体の変化および免疫粉乳をサルに投与した場合の血中抗体の変動などについて実験した。
1. ポリオウイルスワクチン免疫による乳牛の血清および乳汁中の中和抗体価は, 妊娠牛に免疫した場合にその産生能が良好で, 血清, 初乳ともにIII型は<4, 096×と上昇した。I, II型は血清で128~2, 048×, 初乳では16~2, 048×であった。
2. 乳汁中のポリオウイルス中和抗体の経時的低下はきわめて速かで, 分娩約2週間後には免疫前と同程度まで低下した。
3. 免疫初乳を仔牛に摂取させた結果は, 血清中のポリオ中和抗体はI, II, III型それぞれ<4×, 64×, 512×と上昇した。
4. ポリオ抗体の活性は63℃, 30分間の加熱処理ではほとんど低下しなかった。
5. 免疫粉乳をサル4頭に15日間投与した結果, 1頭にのみ8×の血中抗体が確認された。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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