日本口腔腫瘍学会誌
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ヌードマウスに移植したヒトロ底癌を用いた実験的化学療法
第2報: OK-432の効果に関する検討
林 升本田 武司神田 登望月 在秀冨屋 栄祐古本 克磨林 透
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1991 年 3 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

Nude mouseに皮下移植したヒト口底癌 (中分化型扁平上皮癌) に対するOK―432の効果を三種の投与経路で検討した。OK―432の投与は隔日に総量5KE/kgを10日間, 腹腔内・皮下・腫瘍内投与の方法で行った。腫瘍の増殖は, その径を隔日に計測し, これより算出した推定重量で検討した。Nude mouseは最終投与日8日後に屠殺し、腫瘍の組織学的検索を行った。
腫瘍はOK―432の投与群のいずれにおいても, 対照群に比し増殖抑制効果がみられたが, 腫瘍内投与での効果がわずかに高かった。組織学的検索では、対照群においては癌組織は胞巣形成を示しながら増殖し, 間質の炎症細胞反応は少ないのに反し, 腫瘍内投与群では胞巣中心部に壊死を伴い, 種々の炎症細胞反応を伴っていた。他の群では変性, 壊死性変化は著明ではなかった。腹腔内投与によるOK―432の効果の機序は不明であるが, 薬剤効果判定の検討には, その投与経路が重要である。

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