表面科学
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炭素の表面化学
炭素の酸化反応性を中心に
鈴木 俊光渡部 良久
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1989 年 10 巻 9 号 p. 565-572

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抄録

炭素材の表面の化学反応性について最近までの研究の流れを, 炭素材の生成過程を概観し, 炭素材の表面の多用性, 複雑さについて以下の点から論じた。即ち, BET-表面積測定では表面積が正しく求められないことがままあること, CO2などを用いて273-298Kで相対圧の低い領域で細孔容積を求めると比較的妥当な値が求められる。しかし, この様に求めた表面積も, 炭素材の反応性の尺度とならないことが多く, O2, CO2等の化学吸着に基づく活性表面積を用いるとよい反応性の尺度となることに触れた。
炭素表面に化学吸着により捕捉された酸素種をXPS, AESによって同定する試みがなされ, 酸素はセミキノン型構造をとり, グラファイトユニットのエッジに存在することが示された。
筆者らが興味を有する, 金属による炭素の接触酸化について, 13CO2を用いたパルスを反応について述べ, 従来推察されてきた, 酸化剤 (CO2) による金属の酸化, 引き続く金属酸化物から炭素への酸素移行過程を実験的に証明した結果を述べる。

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© 社団法人 日本表面科学会
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