表面科学
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触媒の科学と技術の最近10年の進歩
御園生 誠奥原 敏夫
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1989 年 10 巻 10 号 p. 618-624

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抄録

固体触媒における最近10年の科学・技術の進歩をまとめた。触媒技術においては合成化学プロセスと環境保全関連でとりわけ我が国で着実な進展があった。前者では, ZSM-5を中心とする新型ゼオライトの登場とその分子形状選択反応を初めとする新反応への展開が注目される。後者では, NOxの還元除去技術や自動車用三元触媒の確立があげられる。
複合酸化物触媒については機能解析が進んだ他, 新しい複合酸化物も次々に登場した。酸・塩基では, 超強酸触媒の開発, 塩基触媒によるメタンのカップリング反応が注目される。C1化学では, 優れた要素技術の蓄積が見られた。新しい触媒調製技術として金属錯体化学を活用した方法, CVD, CLDによる薄膜触媒の調製がある。
固体触媒の解析に表面科学 (電子分光, EXAFS, 固体NMRなど) の成果が活発に導入され, 触媒表面の理解が大いに深まったことも特筆される。表面科学としての触媒の分野では, 金属単結晶をモデル触媒として活性点構造の解明が進展した。ここでは, Fe単結晶上のアンモニア合成を紹介した。

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