表面科学
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電子回折による表面研究
RHEEDを中心として
市川 禎宏
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1989 年 10 巻 10 号 p. 659-665

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抄録

最近の表面研究の隆盛には目を見張るばかりである。表面物性の新しい測定手法が開発・応用される一方では, これまでの測定手法の高度化と新しい対象への応用が行われ, 表面の物理的性質に関する情報が急速に豊富となっている。
表面の諸性質を理解する上で, 表面の原子配列は不可欠な知識である。電子回折法は表面の構造を調べるための標準的な手法といえるもので, 60年程の長い歴史を持っている。超高真空技術や試料調整法等の周辺の技術の発展のおかげで最近では, 表面電子回折法は比較的楽にだれもが行える手法となっており, 構造に関する研究のかなめとなるプローブとして使われるだけでなく, 試料の結晶性の良し悪しの判断等の補助的な構造評価にも盛んに利用されるようになっている。その結果, 電子回折法の優れた特性が更に一層確認されることになり, 表面研究の主要な手法としての座を益々確固としたものにしている。
この小文では, 表面電子回折研究の歴史に簡単に触れた後, 最近の反射高速電子回折の研究に重点を置いて展望を行いたい。

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© 社団法人 日本表面科学会
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