最近の急激な技術革新にともない, 表面処理技術の発展にも著しいものがある。特に金属材料に関しては材料が使われる環境が過酷になるにつれ, 従来のめっきを中心とした湿式の表面処理から, 耐食性・耐摩耗性に優れたセラミックスをコーティングする, CVD, PVD等のいわゆるドライな表面処理技術の開発にターゲットが紋られてきている。ここでは, これら新しい表面処理技術の代表として金属表面のセラミックコーティング技術の概要と, 現在, この技術において最も問題となっている密着性の向上方法について, 表面分析を利用した解析結果に基づいた改善方法を述べ, 金属の表面処理という純技術的分野であると思われているところにも表面科学が十分寄与していることを指摘する。