固体表面上への高分子の吸着を, 低分子吸着と比較したときの特徴を述べた。吸着によって高分子鎖のエントロピーは減少するが, 吸着コンホーメーション (吸着形態) にランダムコイルとは異なる多様性のあることを指摘した。高分子吸着の一般的性格を明らかにした上で, 吸着層厚さtの分子量 (M) 依存性について説明を加え, Θ 点でt~M0.5, 良溶媒系でt~M0.4となることを示した。高分子吸着が多方面の応用分野に関連をもち, 各分野でそれぞれ役割を果たすに最適の吸着コンホーメーションのあることを2, 3の例について示すと共に, 現在では吸着高分子の分子設計及び吸着条件の調整によって, これらコンホーメーションの制御がほぼ可能であることを示した。また固体表面改質の一手段として表面重合の例も示し, 今後の高分子吸着研究の展望を行った。