表面科学
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化合物半導体結晶のLPE, VPE成長
中嶋 一雄
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1989 年 10 巻 10 号 p. 782-789

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抄録

LPE法とVPE法の10年間の主な動きを, 研究されたデバイス, 材料の種類, 研究開発の課題, 成長技術に関して述べる。これらの成長方法は, その本質的な特徴が最も生かせる分野に応用され, 研究されてきた。そこで, まずこれらの方法の特徴を説明し, それに基づいて研究開発の動きを説明した。LPE法は最も平衡に近い成長法であり, 主に光デバイス材料の開発に用いられて来た。1980年代に入って, 光通信用の半導体レーザーや受光素子に用いるため, 1μm波長帯の光を発光受光できる良質の材料が必要とされ, InGaAsP 4元系材料の研究開発が始められた。4元系材料の開発は, 半導体材料の開発の歴史の上で初めての試みであり, 複雑で精密な研究が必要となった。1980年代のLPE法の研究の中心はInGaAsP系材料の開発であり, このことについて詳しく述べた。VPE法は非平衡性の強い成長法であり, マイクロ波デバイスや, 光素子の分野では主に受光素子の成長技術として研究されて来た。マイクロ波デバイスの研究は1980年代前半まで行われた。1980年代の研究開発の主流は光素子であり, InGaAsP系で大面積化, 高均一化, 薄膜ヘテロ構造, 高純度化などの研究が進められた。これらについて本文中で述べる。

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