表面科学
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センサー
荒井 弘通水原 由加子
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1989 年 10 巻 10 号 p. 877-883

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抄録

“表面” は材料と外部雰囲気との境界であり, 通常材料バルクの性質は表面を通して観察される。特にセンサーは, 表面の化学的あるいは物理的, 電気的特性を電気あるいは光信号に変換して検出するので, 材料表面の設計はそのままセンサーの機能性の操作につながる。ここでは表面現象が特に重要なセンサーとして湿度センサー, ガスセンサー, 酸素センサー, 焦電センサーを取り上げ, この10年間に見られた表面操作によるセンサー機能の向上について考察した。たとえば水の物理吸着を利用した湿度センサーでは, 表面の細孔分布制御により感湿特性を自由に調節できた。また半導体型ガスセンサーでは, 表面の修飾により選択性の向上や素子の劣化の防止も可能となった。さらに固体電解質型センサーでは電極反応過程に注目し, 酸素センサーを例にとって議論を行なうと同時に高性能センサーの開発を目指した研究をいくつか紹介した。一方これまで物理領域でのみ取り扱われることの多かった光ファイバーや表面弾性波などが, 最近では化学センサーにも応用され実用化に向けて盛んに研究されており, ここでも表面に関連する部分を一部取り上げてみる。また近年特に発達してきたIC製造技術の利用はセンサーの小型化から多種のセンサーの複合化へと応用が可能で, センサー表面のインテリジェント化に関連して大変興味深いので, Pd-MOSガスセンサーを用いた多成分ガスセンサーを例として述べる。

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© 社団法人 日本表面科学会
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