表面科学
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機能性無機材料としてのイオン交換ゼオライト
岩本 正和八尋 秀典
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1990 年 11 巻 2 号 p. 110-116

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抄録

ゼオライトは結晶性アルミノケイ酸塩で, 通常の無機化合物とはかなり異なる特性を示す。本稿では, イオン交換によって発現する新しい機能について解説した。
ゼオライトの分子ふるい作用は, ゼオライト中のNa+を種々の金属イオンで交換することにより, さらに精密に制御ができる。例えば, K+を一部Zn2+で交換したA型ゼオライトは分子径の非常に近い窒素と酸素を分離できる。
ゼオライト中にプロトンあるいは多価カオチンを導入すると, 固体酸性が発現する。このゼオライトはクラッキング等ばかりでなく, 低級オレフィンの直接水和に高い活性を示す。特に, 混合ブテンの水和ではイソブテンのみが高転化率, 高選択率で水和されることが明らかとなっている。一方, これとは逆にアルカリ金属イオン交換型は塩基性触媒として作用することが報告されている。
ゼオライト中に交換された金属イオンの特異的酸化還元特性を利用した新しい触媒反応系が最近開発された。それは銅イオン交換ゼオライトによる一酸化窒素の接触分解である。この触媒の活性はイオン交換率とともに増加し, さらにY<モルデナイト<ZSM-5の順で変化する。分光学的検討から, Cu2+ Cu+のサイクルで分解が進行すると結論されている。

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