表面科学
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LB膜製膜過程の解析
源間 信弘東 実
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1990 年 11 巻 4 号 p. 229-234

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抄録

LB膜の製膜過程における界面の熱力学機構を明らかにするために, 累積特性の基礎的な評価実験と理論モデルによる解析を行った。累積比は基板の親水/疎水性及び膜の表面圧に強く依存し, これらの値により0から1へと急激に変化することが判明した。累積操作における気/液/固, 三相界面の状態変化として4通りの素過程をモデル化して, 界面の熱平衡状態と累積特性を理論的に導いた。この理論モデルから予測される特性は実験結果と極めて良い一致を示し, 累積過程が簡単な熱力学原理により記述されることが判明した。さらに様々な分子について, 累積操作時の膜/基板界面での表面圧を測定したところ, 粘性の高い分子では動的効果により界面での表面圧が低下してしまうことがわかった。この表面圧低下を抑えるような累積操作により, 粘性の高い分子でも均一な構造の膜が得られることが可能となった。

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© 社団法人 日本表面科学会
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