表面科学
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界面張力と流体現象
高木 隆司
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1990 年 11 巻 5 号 p. 289-294

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抄録

液体界面に働く界面張力は, 流体の巨視的な運動に大きな影響を与える。特に, 運動の代表的なスケールが小さい場合, 界面張力の影響は顕著である。さらに, 界面張力係数が温度や液体に溶けている溶質の濃度に依存する場合, 液体は特異な挙動を示す。例えば, 界面張力波の強い減衰, 液滴の自発的な移動, 液滴の重力による落下速度に対する補正, マランゴーニ効果と呼ばれる対流の励起, 界面の波動の励起, 液滴の自励振動などがある。本論では, まず, 界面張力に関する一般的な公式を説明し, 次に, 上記の特異な挙動について説明する。ただし, 界面張力が一定の場合にも起きる特異な現象として, 円柱状の液体が液滴の列に分断される現象も述べることにする。これらの現象は, 流体力学の基礎方程式, 界面での境界条件, および界面張力係数の変動を与える補助の式で解析される。しかし, ここでは, その数学的な手続きは省略し, 結果を定性的に述べることにする。

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