表面科学
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アルミノシリケートの固体酸性に対する分子軌道法の応用
吉田 郷弘
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1990 年 11 巻 7 号 p. 390-397

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抄録

石油化学工業で主要な触媒の一つであるアルミノシリケートの固体酸性質についての分子軌道法による研究の現状を紹介した。まず固体表面をクラスター分子でモデル化することの妥当性について述べ, 分子軌道計算を行うに当っての問題点を概説した後, 表面酸点はSiとAl原子を架橋しているOH基であり, その局所構造はシリカ中のSi原子をAlで同型置換したものでなく, Al-O結合はSi-O結合よりかなり長いことを示した。次に, この架橋OH基が強酸性を示す原因について, これまで提案されている説を紹介し, その中で電子移行相互作用が本質であるとの説を詳しく述べた。この説に従うと, 3配位のSiの存在が許されれば超強酸を生じる可能性があるが, この3配位のSiの安定性について考察した。最後に, 炭化水素変換反応の中間体とされているカルベニウムイオンの実在性に疑問を投げかけた研究を紹介した。

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