有機超薄膜の分子配向や構造を研究する有力な手段として, 最近, FTIRと組合せた反射吸収法(RAS)がよく使われるようになってきた。この方法は, 高感度での測定が比較的容易にできるとともに, 得られたスペクトルの表面選択性のために, 膜中の分子配向が明確に議論できる特徴をもっている。ここではRASの原理と特性を説明し, ステアリン酸カドミウムのラングミュア・ブロジェット (LB) 膜のRAスペクトルと透過スペクトルとの強度比から, 膜中の分子配向を定性的ならびに定量的に評価した例を解説する。つぎに, 薄膜の赤外スペクトルをより高感度で測定する目的で最近石田らが開発した, 金属蒸着ATR法を説明し, これとRASとの特性の類似性および感度増大率などを議論する。