表面科学
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電気化学反応を利用したペロブスカイト型酸化物膜の作製
松本 泰道
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1992 年 13 巻 10 号 p. 581-586

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抄録

電気化学反応を用いた複合酸化物,特にペロブスカイト型酸化物膜の作製方法について,その基本的原理,個々の膜作製,新しい電解方法を用いた膜作製,およびこれらの特長を中心に解説した。膜作製のための電解の方法には電解酸化を用いる場合と電解還元を用いる場合の2通りの方法がある。前者は金属電極および金属イオンの酸化とそれに引き続く加水分解による電析を利用したものであり,後者ではプロトンの消費や水酸化物イオンの生成による電極表面のpH上昇によって金属イオンを水酸化物として電析させる。両者の場合とも電解液にペロブスカイト(ABO3)のAサイトイオンが共存すれば,このイオンが膜中に取り込まれ,引き続く焼成によってペロブスカイト膜が得られる。電解酸化を利用して作製されたものとして,チタン,マンガン,コバルト系のペロブスカイトなど,電解還元を利用して作製したものとして,チタン,クロム,鉄系のペロブスカイトなどを取り上げ,その機構や膜の性状などについて解説した。さらに無電解酸化法によってYSZ上に作製したマンガンペロブスカイト,高温高圧下での電解法,さらに単結晶電極を用いたエピタキシャル成長など,新しい電解法による膜作製についても解説している。

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