表面科学
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光電子分光法によるGaAs表面の評価
尾嶋 正治
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1992 年 13 巻 1 号 p. 18-25

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抄録

光電子分光法は表面の組成や結合状態を調べる最も有力な手法であり,放射光の利用によってさらにその威力が増してきた。この報告では,放射光光電子分光を用いた半導体,特にGaAs系の表面・界面の解析に関する研究動向を概観する。具体的には,金属/GaAs界面やヘテロエピ成長界面のin situ解析,およびEXAFSやX線定在波との複合解析,角度分解光電子分光によるバンド構造解析,光電子回折による表面構造解析,および光電子顕微鏡についての最近のトピックスを紹介する。 半導体デバイスへの応用を目指した金属/GaAs界面の研究においては,低温での測定が重要な情報を与えるようになってきたが,放射光照射による表面起電力がバンドベンディングに与える影響についても紹介する。また,従来の(110)ヘキ開面中心の研究からより実用的なMBE成長GaAs(100)面を利用したinsitu解析の例を紹介する。 一方,放出される光電子の角度分布を測定して,表面の原子構造およびバンド構造を決定しようという研究が盛んに進められており,その発展形として光電子ホログラフィがある。最後に放射光を集光してサブミクロン領域を状態解析する光電子顕微鏡の研究動向についてもふれた。

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© 社団法人 日本表面科学会
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