表面科学
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水素終端Si表面の自然酸化
広瀬 全孝高倉 優八坂 龍広宮崎 誠一
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1992 年 13 巻 6 号 p. 324-331

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抄録

シリコンウェハを希釈HF水溶液(HF)または緩衝希釈HF水溶液(BHF)溶液中で処理することによって,表面の未結合手をSi-H結合によって終端できる。純水中およびクリンルーム大気中に保持されたSi表面の自然酸化膜成長の機構をX線光電子分光法(XPS)とフーリエ変換赤外吸収分光法一減衰全反射法(FTIR-ATR)を用いて評価した。pH調整したBHF中で処理したSi(111)表面は原子的に平坦化されるため,化学的にきわめて安定で酸化されにくい。BHF処理(100)表面は平坦化が難しい。これに対して,HF処理したSi(111)やSi(100)表面は,原子スケールでは平坦でないが,フッ素が原子ステッフ。やマイクロファセットのような反応活性サイトに残留し酸化を抑止するため,酸化種に対して比較的安定である。また,Si(100)水素終端表面の室温での自然酸化は原子層ごとに酸化される(layer-by-layer酸化)ことが示唆された。 さらに,純水中で形成した自然酸化膜とSiの界面には,大気中酸化や硫酸・過酸化水素混合溶液による酸化などの方法で形成される自然酸化膜/Si界面に比べてかなり多量のSiHx結合が含まれていることが示された。

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