表面科学
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シリコン結晶中の水素の電子状態と構造
吉田 博佐々木 泰造
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1992 年 13 巻 6 号 p. 351-357

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抄録

ボロンなどのアクセプタをドープしたP型シリコン結晶中では,侵入した水素不純物によって,その電気的活性が失われる。さらに,数百度Cに保持することによってアクセプタの電気的活性は再び回復する。この現象は,水素による不動態化(Hydrogenz Passivation)と呼ばれている。水素による不動態化の機構を解明するために,母体のシリコン,アクセプタであるボロン不純物,そしてその中を拡散してゆく水素不純物を含む系において,十分な自由度のもとでそれらの構造配置と電子状態を第一原理計算から決定する。第一原理からの電子状態計算に基づいて,水素によるアクセプタの不動態化機構を解明する。さらに,シリコン結晶中の水素原子の電子状態と構造に関連する最近の研究成果を解説する。

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© 社団法人 日本表面科学会
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