表面科学
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高分解能電子線エネルギー損失分光による化合物半導体表面伝導電子構造の解明
野口 充宏平川 一彦生駒 俊明
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1992 年 13 巻 7 号 p. 394-401

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抄録

化合物半導体表面では,極性半導体の格子振動によって生ずるFuchs-Kliewer表面フォノンや伝導電子プラズマ振動表面モードが,真空中に電磁場を放射し表面から10~100nm程度侵入する強い双極子場を形成する。高分解能電子線エネルギー損失分光法(HREELS)で用いる入射低速電子は,この双極子場と試料表面で強く結合するため,ほぼ鏡面反射する低速電子のエネルギー損失を測定することにより,表面から10~100nm程度の深さの表面振動励起の情報を得ることができる。さらに,分子線エピタキシャル成長装置とHREELSを超高真空で接続し,上述の2つの表面振動励起の伝導電子情報に注目することにより,工学的に重要な半導体極性表面の電子構造の表面再配列依存性や深さ広がりについて情報を得ることが可能になってきた。これらは,半導体の真空一貫プロセスにおける表面欠陥評価手段としての可能性を示している。

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© 社団法人 日本表面科学会
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