表面科学
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脱臭剤の吸着作用の特性
上田 壽
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1992 年 13 巻 8 号 p. 456-461

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抄録

脱臭剤といわれるものにはいろいろなものがあるが,おおざっぱに見ると,大気中の悪臭をまったく別の良い薫りを混合することによってごまかすタイプのもの(芳香剤)と,大気中に存在する悪臭の成分を凝縮相に吸着(または吸収)除去するタイプのものに分かれる。本稿では後者について論ずることにする。吸着タイプの脱臭剤をさらに分類すると,活性炭のように表面積で吸着するかのように思われているもの,鉄/アスコルビン酸やキレート樹脂のように化学反応的な過程ないしは配位吸着によって臭気物質を吸着するもの,あるいは内部に空孔をもった粘度鉱物系のもの(これはいかにも物理吸着型に見える)などに分類される。これらの代表例として,鉄(マンガン)・アスコルビン酸・NH3の系を中心として取り上げて,これらの物質系のすべてにおいて,ガス吸着が不対電子数の変化を伴ったものであることを示す。すなわち,吸着型脱臭剤の本性は,電子スピンの相互作用を主とした『スピン状態変化型吸着』とでも呼ぶべきものであることを示したい。

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