表面科学
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ガスセンサと表面
武内 隆
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1992 年 13 巻 8 号 p. 462-471

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抄録

この数年間に,ガスセンサの研究開発は,(1)NOx,CO2,フロンなど,環境問題に関係したガスセンサの研究開発の活発化,(2)新方式のセンサの出現,(3)動作機構の解明,(4)低温作動,低消費電力センサの開発,(5)多素子を用いたガス識別,などの点でかなり進展した。ここでは,これらの状況を概観した後に,主にガスセンサの実用化開発という観点から,ガスセンサと表面のかかわりについて考察する。 ガス検出の方法には,大別して,ガス自体の性質を計測して検出する方法(A方式)とガスと他の物質との相互作用を利用して検出する方法(B方式)がある。一般にガスセンサと呼ばれているほとんどのものは,このB方式に属する検出法であり,いずれも物質表面でのガスの吸脱着・反応を第1ステップにしてガスに感応している。その結果,優れたガスセンサ実現のためには1表面の活用が特別の重要性をもつことになる。その具体例を最近の研究開発の中から取り上げる。 B方式のセンサは,表面を利用しているがゆえに,表面の不安定性に由来する本質的な問題点をもっている。その問題点と対応策の実例を示しながら,脱表面という観点からのアプローチの方法について議論を進め,これが実用的なガスセンサ開発にとってひとつの有効な発想となりうることを示す。

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© 社団法人 日本表面科学会
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