表面科学
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低エネルギーイオン散乱法による表面ステップの観察
久保 実成沢 忠
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1993 年 14 巻 7 号 p. 404-409

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抄録

表面構造に敏感な低エネルギーイオン散乱を利用してMBE成長その場観察法を開発した。この方法を用いて,ステップ密度の定量的な評価やInAs/GaAs系などの成長初期における表面構造や成長機構の観察を行った。まず,微傾斜GaAs基板の表面ステップを,表面シャドーイング条件下で散乱イオンの測定を行い,ステップ密度の定量化を行った。検出感度は,~105cm-1であった。つぎに,格子不整合系であるInAs/GaAsのMBE成長において,成長初期過程における成長様式の変化(2次元成長~3次元成長)を観察した。格子不整合による歪の変化を,散乱強度の入射角度依存性よりチャンネリングディップを測定し,評価した。また,傾斜方向により異なるAステップとBステップを表面チャンネリングにより測定し,ステップエッジ構造の凹凸に差異があることを確認した。さらに,このような微傾斜GaAs基板へInAsのMBE成長を行い,その成長過程のその場観察を行った。成長機構はステップ構造に依存し,特に成長初期(0~4ML)において,Aステップでは島状成長から層状成長に移行し,Bステップではステップフロー成長となっていることを明らかにした。

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© 社団法人 日本表面科学会
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