1993 年 14 巻 8 号 p. 481-485
走査トンネル顕微鏡・分光(STM/STS)を用いて, Au(111)表面のステップ近傍に局在する電子状態密度の定在波を観察した。この定在波は,表面電子状態のステップでの散乱・干渉によって生成されたものと考えられる。観察された定在波の振動周期やピークの位置から,この電子状態のエネルギー分散関係や散乱における位相のずれを電子状態のエネルギーの関数として求めることができた。これらの結果から考慮して,ステップ近傍に存在するフリーデル振動による周期的なポテンシャルがこの散乱に際して重要な役割を果たしていることが推測された。