表面科学
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密度汎関数法の最近の進歩と表面科学への応用
小林 久芳
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1994 年 15 巻 4 号 p. 198-203

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抄録

密度汎関数法の最近の進歩について,理論的・実際的側面からやや詳しく説明した。特筆すべき改良点としては,(1)電子密度の補助関数でのフィットを最小2乗法的に行う。実際にはクーロン型3中心積分を用いて電子密度ではなく,クーロンポテンシャルをフィットする。(2)Xα法で用いられている局所交換ポテンシャルに加えて,局所相関ポテンシャルを用いる。さらに,非局所ポテンシャルによる補正を行う。(3)交換相関ポテンシャルの数値積分を効率よく計算するためのグリッドフレームが改良された。などが挙げられる。新しいプログラムではどれも,これらの機能をインプリメントされており,全エネルギーを精度よく計算できることはもちろん,エネルギー勾配法を用いて構造最適化や振動数解析が行える。 応用例として著者らが行った,酸化マグネシウム表面での水素分子の解離吸着を紹介し,コーナーサイトでの高い反応性が欠陥構造による“共有結合性の局所的増大”の概念で説明できることを示した。

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