1994 年 15 巻 4 号 p. 247-251
形成外科の領域におけるシミュレーション外科,コンピュータ支援外科に関する研究を,実際の臨床例を含めて,概説する。コンピュータを利用して手術を再現する方法には,コンピュータ・グラフィックス(CG)によるもの,3次元実体モデルによるもの,バーチャル・リアリティ(VR)によるものの三つの手法がある。CGによるものは,繰返しが容易であること,3次元実体モデルによるものは,実際の奥行き感を有することが利点となる。VRによるものは,その両者の利点を有するものとして期待されている。コンピュータを使用して手術をシミュレーションすることにより,正確な術前診断,手術法の検討,術後の評価が可能となる。それにより,手術侵襲の低減化,手術時間の短縮,入院期間の短縮が可能である。また,患者,家族への疾患,手術法の説明,学生,研修医の教育においても有用である。この研究は,現在,研究の始まったばかりの段階ではあるが,今後は,さらに大きく実を結んでいくものと考えられる。