形状記憶合金は,マルテンサイト変態という無拡散の1次の相変態に関連して,特異な形状記憶効果を示す。マルテンサイト変態が起こると,幾種類かの界面が結晶内に必然的に形成される。たとえば,マルテンサイト晶が未変態領域と接するために必要な晶癖面,この面を形成するためにマルテンサイト相内部に導入される双晶界面,異なる方位のマルテンサイト晶同士の接する界面などがある。これらの界面の性格と挙動が形状記憶効果を理解するために重要であることを解説する。さらに,これらの界面を同定すると共に動きを観察するために,試料表面はきわめて重要な場所であることを説明する。