表面科学
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逆光電子分光
生天目 博文谷口 雅樹
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1994 年 15 巻 8 号 p. 507-512

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抄録

光電子分光法は,物質の占有電子状態をほぼ完全に測定できることから最も強力な手段とされている。一方逆光電子分光は光電子分光の逆の過程を用いて非占有電子状態を測定する手法であり,原理的に光電子分光と同様の実験が可能となる。これまで多くの研究グループにより逆光電子分光の実験技術の開発が精力的に行われており,光電子分光と同様の実験が可能となってきている。現在,逆光電子分光の高分解能化,シンクロトロン放射を用いた光電子分光に対応するかのように,光エネルギー可変の逆光電子分光装置の開発などが行われている。逆光電子分光の重要性は多くの研究者の認めるところである。真空紫外域での逆光電子分光装置についてはいまだに市販の装置もなく,限られた研究グループの自作の装置による研究が中心になっている。本稿では,逆光電子分光の原理と装置の現状と問題点にふれ,いくつかの研究を通して今後の発展の方向を模索してみた。

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