表面科学
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ここまで進歩したフレーバー性に優れた飲料缶
長澤 善雄野口 雅敏
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1994 年 15 巻 8 号 p. 545-550

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抄録

金属容器としての飲料缶はビール,コーヒー,炭酸,果汁,スポーツ,ウーロン,緑茶などあらゆる分野にまで勢力を拡大し,今やビールにおいては,全ビール中に占める缶ビールの比率すなわち缶化率はすでに41%を越えるまでに成長している。これは金属缶のもつ各種の特性,たとえば安全性,衛生性,内容物の保護性,機能性,リサイクル性に優れていることなどが社会的に高く評価されたことによるもので,今後も他の容器と共存しながら飲料缶はますます発展し続けていくものと思われる。特に金属缶が,香味に対して最も厳しい要求のある嗜好飲料や,何よりも微量変化の受けやすいお茶や飲料水などにも金属缶が広く利用されるようになった理由は何か,これは金属缶が他の容器に比べ優れた密封性とガスバリヤー性のほかに遮光性と耐衝撃性強度をもち,加えて近年飛躍的に進歩した缶内面被膜の性能が内容物の香味に対してまったく影響のないレベルまで改善されたことに集約できる。以下食品の香味とは,また香味に影響する金属缶の要因について述べ,これらの関係が飲料と容器との表面科学にほかならないとの観点において考察してみた。

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© 社団法人 日本表面科学会
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