めっき法により作製した軟磁性材料の代表的な合金はパーマロイで,NiFe系の合金である。パーマロイは保磁力が小さく透磁率が高いことから古くから磁気ヘッドや,磁気シールド材へ応用されてきた。最近HDD(ハードディスクドラィブ)の小型化,大容量化にともなった磁気記録媒体の要求に対応すべく,書き込み能力に優れた高い飽和磁束密度を合わせもつ軟磁性材料が磁気ヘッド材料として必要とされ,高密度磁気記録HDDにおいて採用されている薄膜磁気ヘッドは,ヘッドコア部にパーマロイめっき技術が用いられている。そこで,本解説では薄膜磁気ヘッドが生まれた経緯を概説し,磁気ヘッドコア材として使用されているパーマロイめっき膜の特性について述べる。さらに高飽和磁束密度をもつ軟磁性材料のめっきに関するわれわれの最近の研究を取りあげ紹介する。