表面科学
Online ISSN : 1881-4743
Print ISSN : 0388-5321
ISSN-L : 0388-5321
無電解めっき法による磁気記録媒体の作製とその特性
松田 均鷹野 修
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 15 巻 10 号 p. 650-655

詳細
抄録

磁気記録技術は現代社会において欠かせない役割を担っており,大型コンピュータからホームビデオに至るまで,その適用範囲はますます拡大されている。また,社会の情報化の進展により記録の高密度化も進み,記録密度は10年間で10倍の割合で増加している。このような状況を背景として,記録媒体そのものの特性に対する要求性能も高まり,磁性粉を塗布した従来の塗布型媒体では,限界に達しつつある。薄膜型媒体の作製手段としは,従来より,乾式の蒸着法,スパッタ法が主流である。しかし,無電解めっき法によれば,(1)数100Å の低膜厚側から均一膜厚の薄膜が作製できる,(2)作製条件の変化により幅広い磁気特性を得ることができる,などの特徴があり,媒体作製手段として優れている。さらに,量産性の面でも乾式法に比べ有利であるなどの理由により,今後,無電解めっき法が磁気記録媒体作製の分野において大きな一翼を担うものとして期待されている。本稿では,無電解Co系合金磁性膜の研究の経緯ならびに現状を,1.磁性膜の作製条件2.析出膜の微細構造3.記録媒体への応用研究の3分野に分けて解説する。

著者関連情報
© 社団法人 日本表面科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top