1994 年 15 巻 2 号 p. 74-78
超格子,人工格子など新物質が新しい物性工学を拓くようになり,エピタキシー現象が新物質創成の鍵として,その原子レベルでの理解が重要視されている。エピタキシャル成長過程の初期段階で起きる表面再構築現象を,高温走査トンネル顕微鏡(STM)法で“その場”観察し,原子レベルで解明した。Si(111)7×7表面上にAgを蒸着したときにテラス上に形成されるAg島がある臨界の大きさを超えると,基板表面の7×7構造が徐々に再構築されて√3×√3構造が形成される,このとき,表面層のSi原子数が再構築の前後で保存されるので,互いに1原子層高さの異なる√3×√3構造の領域が対で形成される。対をなす領域の面積比から√3×√3構造のSi原子数密度を見積もった。