室温および約570Kまで加熱されたSi(001)上にTiを蒸着したときの成長モルフォロジを走査トンネル顕微鏡で観察した。0.1ML以下では,室温と加熱基板上で異なる単原子吸着構造が形成されることが見出された。加熱基板では,単原子吸着に伴ってSi表面原子の脱離が誘起される。約0.1ML以上の被覆率では,3Dクラスタの成長が見られた。室温ではこれに伴って基板の規則構造が破壊され,アモルファス化する。加熱基板でも,2×1テラスの再構築を伴いながら3Dクラスタが形成される。これらの観測から,従来,電子分光法で観測されていたTi/Si界面反応は,0.1ML以上のTi-Si混合相クラスタ形成以降のものであり,これ以前に,単原子吸着の段階における反応が起こることが見出された。