表面科学
Online ISSN : 1881-4743
Print ISSN : 0388-5321
ISSN-L : 0388-5321
半導体超微粒子による光利用部分めっき
森下 真也
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 16 巻 3 号 p. 201-205

詳細
抄録

TiO2超微粒子では,量子サイズ効果によってバンドギャップが大きくなるとともに伝導帯は卑な電位にシフトする。そのため,光励起された電子の還元力が強くなり,バルク結晶では析出しなかったNiが光照射によってTiO2超微粒子上に析出する。また,このような超微粒子では表面エネルギーが非常に高く,比較的低い温度域から焼結反応が進行する。これらTiO2超微粒子の特徴と無電解めっき技術とを結びつけることにより,基板上の光照射部のみに密着性良くNiを析出させる新しい部分めっき法へと展開した。本めっき法には,(1)従来法では不可欠なPdコロイドとレジストパターンを使用することなく部分めっき可能,(2)水洗等のない簡単なプロセスなどの特徴がある。また,レジストパターンの形成が困難な曲面や段差のある立体的な基板にもパターンめっきが可能である。ここでは,光照射に伴うTiO2超微粒子上へのNiの析出現象,析出メカニズム,部分めっき法としての解像度,めっきされたNiの基板に対する密着力について解説する。

著者関連情報
© 社団法人 日本表面科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top